Interview
Interview

ジャネール・オクウォドゥ

ジャネール・オクウォドゥ Janelle Okwodu / VOGUE.COMシニアファッションニュースライター

AmazonFWT 2018 A/W 海外ゲストインタビュー vol. 2

VOGUE.COMシニアファッションニュースライター

Amazon Fashion Week TOKYO 2018 A/W 開催に合わせて、VOGUE.COMシニアファッションニュースライターのジャネール・オクウォドゥ氏がJETROの招聘によって来日した。今回で3度目のファッション・ウィークへの参加となり、過去にも東京のデザイナーやモデルに個別で取材を行うなど、日本のファッションシーンにも詳しい彼女に、初来日から現在に至るまでの東京のファッションの変化や日本人デザイナーの特徴、個人的に注目しているファッション業界のトピックなどについて話を聞いた。

 

2016 S/Sシーズンに初来日されて以来、今回で東京のファッション・ウィークには3回目の参加となりますが、この2年半の間に感じられた変化はありますか?

初めて来日した時は、スポーツやアスレチック、ストリートのテイストが強いコレクションが多かったように感じましたが、今シーズンはロマンティックでフェミニンなピースなども多く見られ、バラエティ豊かになった印象を受けました。また、これまではショー会場に来ているファッション業界の方たちのドレスアップしたスタイリングしかチェックすることができませんでしたが、今回は3回目の東京ということで余裕ができ、街を歩く人たちの日常的な着こなしにも目を向けられるようになりました。東京の人たちはニューヨークの人たちに比べると、周囲から注目されるために派手な着こなしをするようなことはあまりなく、落ち着いたスタイリングをされている人が多いように感じています。

 

今回ご覧になったショーの中で、特に印象に残っているものがあれば教えてください。

これまで見たショーの中ではMame Kurogouchi(マメ)が印象的でした。他のブランドにはない独自の世界観が素晴らしいと感じましたし、プレゼンテーションの仕方もとても素敵でした。また、GROWING PAINS(グローイングペインズ)のショーは会場のセッティングがユニークでしたし、とてもエネルギーを感じました。YOHEI OHNO(ヨウヘイオオノ)の洋服も非常に美しく、身体にフィットさせるために長い時間かけて考え抜かれたクリエーションだと感じましたし、アクセサリーのデザインも非常に良かったと思います。

 

今回の東京のファッション・ウィークについて、VOGUE.COMではどのように伝えようとお考えですか?

印象的だったコレクションを中心にレビュー記事を配信するとともに、今回のファッション・ウィーク全体に関する考察もまとめたいと考えています。また、デザイナーやモデルへの取材記事や、東京のストリートスナップ、会期中に開催されたパーティの記事なども紹介していく予定です。

 

これまで日本のデザイナーに取材をされてきた中で、感じられたことがあれば教えてください。

日本人デザイナーに共通して見られる傾向をひとつ挙げるとすれば、日本のものづくりやクラフトに対する尊敬の念を強く持っているということです。日本のデザイナーたちは、自国のものづくりやファッションの歴史、バックグラウンドについてよくご存じですし、それを誇りに思っていることを取材を通して強く感じます。これは多くの都市に見られる傾向ではなく、例えばニューヨークのデザイナーは、アメリカのファッションやものづくりの歴史をあまりよく知らない人も少なくありません。

 

日本のファッションや東京のファッション・ウィークに関連した記事に対するVOGUE.COM読者の反応はいかがですか?

反応は良いと思います。VOGUE.COMの読者は、ニューヨークに限らず世界中のファッションシーンで起こっていることに関心を持っているので、東京でいまどんなファッションが流行しているのかということにも強い興味を持っています。

 

ここ数年で、読者の興味や関心事に何か変化は感じられますか?

以前に比べて読者はより賢くなり、要求が高くなっているように感じます。これだけ膨大な量の情報に囲まれている中で、読者たちはひとつの記事に対して、これまでに聞いたことがない話や知らなかった内容を求めるようになっているのだと思います。

 

そうした中で、VOGUE.COMなどのファッションメディアには今後どのような役割が求められるとお考えですか?

あらゆる情報をインターネットで簡単に収集できる時代において、私たちに求められていることは、何が読者にとって価値があるものなのかということを、わかりやすい形にして提供することだと考えています。読者たちはたくさんの情報を得ているにもかかわらず、まだ自分は何かを見逃しているのではないかと感じてしまっていたり、その中で重要な情報を判断することが難しい状況にあるので、一度我々が情報を整理、編集することが大切だと思っています。

 

いま、ジャネールさんが注目しているブランドやトピックなどがあればお聞かせください。

ロンドンをベースにしているHalpern(ハルペーン)というブランドに注目しています。仕事柄、ファッションを見る目はシリアスになりがちですが、スパンコールを用いた美しいドレスなどに代表されるこのブランドのコレクションは、見ているだけでとても幸せな気持ちになれますし、非常に才能があるデザイナーだと思います。その他では、ニューヨークのGypsy Sport(ジプシースポーツ)のランウェイがエネルギーに満ち溢れていて素晴らしいと感じています。ニューヨークでは、 Gabriela Hearst(ガブリエラハースト)Chromat(クロマット)なども重要なブランドで、常識にとらわれないコレクションを発表しています。他にも、ユニークなシルエットのデニムが中心の MATTHEW ADAMS DOLAN(マシュー・アダムス・ドーラン)や、全く異なるポップカルチャーの要素を組み合わせたコレクションが魅力的なADAM SELMAN(アダム・サルマン)など、挙げ出すとキリがありません(笑)。また、Burberry(バーバリー)に新たに就任するリカルド・ティッシがどんなコレクションを発表するのかということもとても楽しみですね。

 

ところで、東京のファッション・ウィークは、2017S/SシーズンよりメインスポンサーがAmazon Fashionに変わりました。これについて何かお感じになることはありますか?

Amazonがファッション業界に参入するのはとても良いことだと思います。Amazonは世界的に有名な企業であり、東京のファッション・ウィークを世界に発信していく上では大きな力になると思いますし、ショーの会場や有望なブランドに対してスポンサードしてくれるのは喜ばしいことですよね。AmazonをはじめとするIT業界というのはファッション業界と重なり合う要素も多く、相性が良いと感じています。いま、IT業界は世界的に見て最も勢いがありますし、クールで新しいサービスやプロダクトがたくさん生まれています。こうした分野とファッションがコラボレートしていくことは、非常に素晴らしいと感じています。

 

昨今、新しいテクノロジーによって、世界中のランウェイショーをリアルタイムで視聴することも可能になっています。こうした状況で、今後ファッションショーのあり方はどのように変わっていくと思いますか?

今シーズンのニューヨークコレクションでは、ランウェイで発表されたコレクションの中からユーザーが好きなルックに投票できるアプリを開発したブランドもありました。このように新しいテクノロジーを活用することによって、ブランド側は消費者のニーズをより細かく知ることができますし、逆に消費者側もスマートフォンなどを使ってブランドの情報を24時間集めることができ、かつてのようにランウェイや雑誌で見た商品の入荷情報などを電話で問い合わせる必要もなくなりました。今後はファッションショーにおいても、それ以外の場においても、ブランドと消費者の距離がますます近くなっていくことは間違いないと思います。

 

INTERVIEW by Yuki Harada

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