Interview
Interview

森川 拓野 Takuya Morikawa

森川 拓野 Takuya Morikawa TAAKK(ターク)

TOKYO FASHION AWARD 2017受賞デザイナー

文化服装学院卒業後、(株)イッセイミヤケ入社 ISSEY MIYAKE / ISSEY MIYAKE MEN パリコレクションの企画デザイン担当を経て独立。 2012年 森川デザイン事務所設立 自身のブランドTAAKKを立ち上げる。
2013年TOKYO新人デザイナー大賞受賞/アジアファッション連合会、タイバンコク大会、日本代表デザイナー選出、2017年TOKYO FASHION AWARD受賞

[ Website ] http://www.taakk.jp/

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今年3月、Amazon Fashion Week TOKYOのメイン会場である渋谷ヒカリエ ホールAとBの間の通路をランウェイにした異例のショー演出で話題をさらったターク。イッセイミヤケ時代に培った技術や素材へのこだわりを強く反映させたクリエーションはまたたく間に注目され、ブランド設立5年目にして国内外に展開される人気ブランドとなっている。TOKYO FASHION AWARD 2017を受賞し、初となるパリでの展示を行った後、ニューヨークでの展示会にも参加するなど、海外での経験を経て次なるステージに向かっているデザイナーの森川拓野氏を取材した。

 

Takuya Morikawa

ご自身のブランドを立ち上げる前は、イッセイミヤケで働かれていたそうですが、どんなお仕事をしていたのですか?

イッセイミヤケには7年間在籍し、プリーツ プリーズからレディス、メンズそれぞれのコレクションライン、さらに(三宅)一生さんの展覧会の企画など、本当にさまざまな仕事に携わらせてもらいました。展覧会に関わっている時期は、周りのスタッフがみんな洋服をつくっている中、和紙で靴をつくっては一生さんにプレゼンするという日々で「服をつくらずに、自分は一体何をしているんだろう」と考えた瞬間もありましたが(笑)、他ではできない経験をさせていただき、それらはすべて今の仕事に活きていると感じます。

 

タークを立ち上げることになったきっかけを教えて下さい。

デザイナーの多くは、30歳くらいで独立して自分のブランドを立ち上げるというようなキャリアを思い描いているもので、まさに自分もそのようなイメージを持っていましたが、実際に30歳の誕生日が来て、まもなくして独立したんです(笑)。当時はメンズのデザインチームにいましたが、それまでずっとレディスを担当していたこともあり、等身大のメンズウエアをつくることが自分にとって新鮮でした。テキスタイルの開発からデザインまで、自分の意思を反映させながらつくっていける環境もあり、とても面白かったのですが、その頃は根拠のない自信があって、全部自分ひとりでできるんじゃないかと思っていました。今振り返ると、その勘違いがあったからこそ、独立できたと感じます。

 

Takuya Morikawa

ご自身のブランドではどんな服をつくっていきたいと考えていたのですか?

イッセイミヤケで働いていた頃から自分がつくりたいとイメージしているものは基本的には同じで、生地屋さんや加工屋さんなどと一緒に新しい発見ができるものづくりをしていきたいという思いがあるんです。頭の中では常にイメージを膨らませているのですが、それを実際に形にしていこうとする段階でさまざまな問題が発生します。そうした工程の中で試行錯誤を続けていると、ふとした瞬間に感動できるようなものが生まれることが多く、それが「新しさ」というものなのかなと思っています。

 

服づくりにおいて大切にしていることを教えて下さい。

生地の開発など、デザインの根本となる材料の部分からしっかりつくっていきたいと考えています。既存の生地やボタン、ファスナーなどを組み合わせたり、付け加えたりして洋服をつくっていくのではなく、材料から自分でつくって味付けしていくことによってイメージをよりダイレクトに表現できますし、それが自分の強みだと思っています。

 

TAAKK showroom.tokyo A/W 201
TAAKK showroom.tokyo A/W 201
TAAKK showroom.tokyo A/W 2017

2017年6月にパリで行われたTOKYO FASHION AWARD「showroom.tokyo A/W 2017」の様子

毎シーズンのテーマはどのように決めていますか?

シーズンテーマについては、そこまで深く考えていないんです。もちろん、自分が気になっているテーマなどについてリサーチすることはありますが、お客さんにとって重要なのは、テーマよりもその洋服自体が魅力的であることだと思っています。ただ、先日TOKYO FASHION AWARDを受賞し、パリのショールームでコレクションを発表したのですが、やはりテーマというものがあった方が伝えやすいということは感じました。一口にテーマと言っても、技術的なテーマから考え方のテーマまで色々なものがありますが、それを言葉に置き換えて伝えることも大切なんだなと。

 

海外でコレクションを発表したことで何か変化はありましたか?

自分らしさについてより深く考えるようになりました。ブランドを立ち上げた頃から、国内外に広く売っていきたいという思いはあったのですが、実際に海外で洋服を展開しようとすると、どうしても上代が高くなってしまうため、現地のブランドと勝負をしていくのは簡単ではありません。それだけのお金を払って自分の洋服を買ってもらうためには、ブランドの個性や強さというものが必要だと感じています。そうした中で、過去に自分が培ってきた技術を見直し、改めて表現するということも意識するようになりました。例えば、最新シーズンでは、初期の頃につくっていた刺繍のスタッズに改めて取り組んだのですが、毎シーズンひとつくらいはこうした復元シリーズを入れていきたいと考えているところです。

TAAKK showroom.tokyo S/S 2018
TAAKK showroom.tokyo S/S 2018

2017年6月にパリで行われたTOKYO FASHION AWARD「showroom.tokyo S/S 2018」の様子

 

これまでに積み上げてきたブランドの財産を改めて形にしていくことで、自分らしさを表現するということですね。

はい。開発したけど一回きりで終わってしまっている生地や技術は正直たくさんありますし、それらを改めて見つめ直したいと考えています。よく周りの人たちに、「昔こういう表現をよくやっていたよね」と言われるものが結構あるのですが、実はそれらの多くは一回きりで終わってしまっているんです。良かったものというのはそれだけ人の印象に残るということですし、新しく開発した生地や技術というのは、一回のトライだけでは満足できる表現に到達できないことも少なくありません。過去の反省点を活かし、よりブラッシュアップした形で改めて出していくということは、ブランドにとっても良い蓄積になるのではないかと考えています。

 

Interview by Yuki Harada
Photography by Yohey Goto

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