Interview
Interview

ノア・ジョンソン

ノア・ジョンソン Noah Johnson

AmazonFWT 2017 S/S 海外ゲストインタビュー vol.2

「GQ STYLE」シニアエディター

世界中に読者を持つ「GQ Style」のシニアエディターNoah Johnson (ノア・ジョンソン)氏が、経済産業省の招聘プログラムで、Amazon Fashion Week TOKYO 2017S/Sに来場した。 ファッション、音楽、アート、カルチャーまでさまざまな独自情報を発信する編集チームを束ねるノア氏に、初来日の印象から日本のブランドや東京のカルチャーについて話を伺った。

初来日とのことですが、東京のファッションやストリートをご覧になって、どのような印象を持たれましたか。

来日までにギャラリーやショップ、デザイナーについて様々なリサーチをしてきました。特に、東京のメンズファッションは世界的に見てもユニークで、バリエーションも豊富で、消費者の多様性に応えているように感じます。そして、そのエネルギーがとても強烈でした。

消費者のニーズも商品も多様性を感じたということですか。

NYのブルックリンやマンハッタンにも、それぞれの地域で多様なスタイルはありますが、東京の方がその幅が広くよりエネルギッシュです。テーラーや伝統的なものへの理解がある一方、原宿のストリートスタイル、サブカルチャーなどといった、様々な方向へ関心が広がっています。それぞれの要素が独自に発展してミックスされている街だと思います。

特に印象に残ったブランド、ショップなどはありましたか。

UNDERCOVER、COMME des GARÇONS、visvimといった世界的にも知名度のあるブランドの、彼らが誕生した東京の旗艦店に訪れることができたので、大変感慨深かいです。中目黒にショップのある MOUNTAIN RESEARCH は僕の好きなブランドの一つで、NYでは買うことのできないブランドです。他には UNUSED、COMOLI、KAPITALも印象的でした。中でもKAPITALは、NYでも取り扱われていますが、東京ではフルラインナップを見ることができ、とても満足しています。

名前の挙がったブランドは、どれもテキスタイルやディテールにこだわりがある印象です。ノアさんもそう思いますか。

そうですね。KAPITALはヴィンテージやミリタリースタイルに、日本の伝統的な生地や思想をミックスしていて、非常に独創的で世界的に見ても、唯一無二のブランドだと思います。UNUSED はシンプルですが、ディテールまで作り込んでいてシルエットが美しい。実は、今日被っているハットもUNUSEDで購入したものです。

ファッションショーも見ていただきましたが、いかがでしたか。

Umit BenanBED j.w. FORD が特に印象に残っています。Umit Benanとは GQ Styleで一緒に仕事をしたことがありますが、東京で彼のコレクションを見ることができたのは嬉しかったです。
今回、たくさんのブランドが、ドレープやアシンメトリーのレイヤースタイル、切りっぱなしの裾、ブラックトーン、長めのベルトなどを取り入れていました。こういった要素は今季のトレンドですが、東京のコレクションでもうまく取り入れているブランドが多く、興味深く見ていました。特にBED j.w. FORDが秀逸だったと思います。

東京と他の都市のファッション・ウィークと比べるといかがでしょうか。

メンズのショーしか見ていませんが、東京は落ち着いていて静かな印象です。NY、ミラノ、パリ、ロンドンのファッション・ウィークでは、ブランド同士が競争していて、それがファッション・ウィーク自体の興奮にもつながっています。東京ではほとんど全てのブランドがヒカリエでショーを発表していますよね。それは確かに、運営側も見る側も負担は減りますが、街全体の盛り上がりにならない要因でもあります。僕は各ブランドがコレクション発表に合う場所を選び、ブランド毎に異なる会場でショーを見るのが好きです。 KOCHÉ(KOCHÉ Presented by H BEAUTY&YOUTH) は原宿のストリートでショーを行っていましたが、見せ方含めて面白いと思いました。

GQ Style についてお伺いしたいのですが、最近どのようなコンテンツや記事が読者に好まれていますか。

セレブリティーや有名人に関しての記事が人気です。最近、読者の反応が良かったのは、LAの隣街コンプトン出身の Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー) というラッパーの特集です。彼へのインタビューでは、音楽のことやアーティストとしての創作活動について聞きましたが、撮影ではGUCCIやPRADA、TOM FORDなどのハイファッションを着てもらいました。ラッパーとハイファッションというクロスオーバーなストーリーになったことで、音楽に興味のある人から、ポップカルチャーに興味のある人、ファッションに興味のある人など、幅広い読者に届き、その反応も多様で、とても注目度の高いコンテンツになりました。彼はラッパーであり、ファッション業界では知名度はあまりありませんが、彼のパーソナリティーをファッションで表現できた特集として、とても気に入っています。

現在、多くの人がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を使っていますが、ファッション業界においてはどんな影響を与えたと思いますか。

私はネットの専門家ではありませんので、あくまで主観になりますが、SNSが与えた一番の影響は、ユーザーがコンテンツに対して関心を持っている期間が短くなったことだと思います。さらに、SNSユーザーのコンテンツへの経験の仕方も変わりました。1つのコンテンツを入り口に多方面に深堀していくのではなく、面で写真を見て取捨選択をしては、新しいコンテンツにスクロールしていくというイメージでしょうか。同時に、ファッションショーを会場で生で見ている人たちも、皆さん携帯電話を片手に写真を撮っては、Instagramにどうアップして、どんな反応があるかということを考えるのに夢中です。せっかくライブで体験しているのに、ショーの会場の雰囲気や、音楽が与える効果や、デザイナーが伝えたいストーリーなどは気にしていない様子です。インターネットの中で起こることばかりに気を取られているように感じます。

GQ Style は世界中に読者がいますが、 他のメディアとの一番の違いはどこにありますか。

GQ Style がずっと発信していることの1つとして、個人のスタイルはトレンドや文化的な潮流よりも重要だということです。僕が考える個人のスタイルというのは、様々な文化背景、ハイファッション、ローファッション、ストリートファッション、ヴィンテージファッションなど、あらゆる要素を独自に組み合わせ、自身の考えでそれらを身にまとい社会でどう振る舞い、いかに独自の世界観を作るかといったことです。これは僕たち独自の考えですが、トレンドこそが時代遅れになったと思っています。私たちは読者に服の着方やトレンドを伝えたいのではなく、彼らが独自の世界を作るためのツールになればいいなと思っています。

日本のファッションブランドの海外展開において、アドバイスをいただけますか。

僕自身、日本のデザイナーとのコミュニケーションの機会が少ないと思っています。流通などの物理的な課題があるかもしれませんが、日本で留まっているブランドが世界に出るには、とにかく日本以外の方々に直接手にとって見てもらう機会を作ることではないでしょうか。僕は世界中に日本のファッションを愛し、求めている人たちがいると思います。僕たちも、気に入ったブランドがあれば、海外展開していないとしても、積極的に記事にしていきます。

INTERVIEW by Shinya Miyaura

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