Interview
Interview

モニカ・キム

モニカ・キム Monica Kim

AmazonFWT 2017 A/W 海外ゲストインタビュー vol.2

「Vogue.com」ファッション・ニュース エディター
これまで『Wired』や『New York Magazine』、『The Atlantic』などに寄稿。

Amazon Fashion Week TOKYO 2017A/W開催に合わせ、「Vogue.com」でエディターを務めるモニカ・キム氏が来日し、多くのブランドのランウェイショーやショウルームなどに足を運んだ。近年は、東京やソウルをはじめとするアジアのファッションシーンにも注目しているという彼女に、東京のファッション・ウィークや日本のブランドに対する印象、アジア全体のファッションの現状や未来など、さまざまな話を伺った。

すでに日本には何度か足を運ばれているそうですが、東京のファッションの印象はいかがですか?

アメリカ人の中には、東京のファッションと聞くと、未だに1990年代後半から2000年代前半頃に広く知られるようになった原宿などの奇抜なスタイルを思い浮かべる人も多いですが、近年の東京はもう少し落ち着いて洗練されたファッションが主流になっていると感じます。恐らくその背景には、SNSなどの影響によって世界中の都市のファッションが似通ってきているという状況もあると思います。もともと日本のファッションは海外からの期待値が高いため、落ち着きつつあるファッションの傾向を見て、日本は退屈になったと感じる人もいるようですが、クリエイティビティは依然として残っていますし、他の都市には見られない雰囲気が東京にはあると感じています。

日本のファッションブランドには、どのような特徴があるとお感じですか?

日本のブランドは、生地づくりからテーラリングの技術まで、概してクオリティが高いと思います。また、個人的にも大好きな「COMME des GARCONS」などの影響が感じられるアヴァンギャルドなデザインが見られると同時に、近年はクリーンでミニマルなデザインを得意とするブランドが増えている印象です。これらは、あくまでもファッション業界で働いている私が抱いている印象ですが、多くの一般的なアメリカ人の間では、ユニクロのイメージが強いかもしれません。ファストファッションのブランドはあまり品質が良くないものが多い中、ユニクロに限っては安いのに高品質。こうした点からも日本の品質の高さということが感じられます。

東京のファッション・ウィーク全体の雰囲気についてもお聞かせください。

まず、オーガナイズのレベルが非常に高いと思います。ニューヨークは制御不能状態ですが(笑)、東京は時間通りにショーがスタートしますし、皆さんとても親切に接してくださり、非常に雰囲気が良いファッション・ウィークだと感じています。

今回の来日で特に印象に残ったブランドを教えてください。

今回、初めて知ることができたブランドも多く、中でも「sulvam」や「BED j.w. FORD」などは非常にコレクションの完成度が高いと感じました。デザイナーご本人ともお話をすることができ、生地やテーラリングに対するしっかりとした考え方や、ブランドとしての強いメッセージをお持ちで感心しました。ジュエリーとファッションの融合というユニークな着眼点を持つ「AMBUSH」などもこれからの成長が楽しみですし、昨秋にデザイナーご本人とお会いした「99%IS-」も世界観がユニークで、情熱を持って服づくりに取り組まれている印象を受けました。「YOHEI OHNO」も実際にアトリエに訪問してデザイナーとお話をしましたが、共感できる点が多く、お気に入りのブランドの一つになりました。「AKIKOAOKI」のユニークな発想や色使い、造形もフレッシュでした。また、マレーシアのブランドになりますが「MOTO GUO」も印象的でした。ショーの後にデザイナーご本人が「ポジティブな反応であれ、ネガティブな反応であれ、人々の感情を揺さぶるものをつくりたい」という話をされていましたが、それは私自身の思想とも重なることだったので、強く印象に残っています。

モニカさんは、ソウルのファッション・ウィークなどにも足を運ばれているそうですが、日本に限らず、韓国や中国、タイ、マレーシアなどアジア全体のファッションについてはどのように見ていますか?

近年、アジアの国々は経済的に急成長していますが、それに伴ってこれらの国々のファッションが世界中から注目されているように感じます。また、SNSの影響も大きく、これまであまり知られる機会がなかったアジアのブランドを人々が容易に発見できる時代になっています。ファッション業界というのは常に新しい才能を探しているものですし、有望なデザイナーが数多くいるアジアには、もっと目を向けるべきだと感じています。私自身、Vogue.comのエディターとして、ここ1、2年は東京やソウルをはじめアジアのデザイナーに注目していますし、ニューヨークやパリ、ミラノだけではなく、より広い視野で世界のファッション業界で起きていることに関心を寄せている読者も多いため、世界にまだ知られていないデザイナーの仕事を積極的に伝えていきたいと考えています。

Monica Kim

VOGUE US より

VOGUEのファッションメディアとしての独自性や、力を入れていることなどについて教えてください。

ありがたいことにVOGUEには非常に高い知名度があり、それにふさわしい良質な記事や写真を通して、世界トップレベルのコンテンツを読者の皆さまにお届けしているという自負があります。また、単なる情報の紹介にとどまらず、その背景にはどんな思想や文化があるのか、あるいはファッションというものがなぜ人々の生活において大切なのかということを意識して記事をつくるように心がけています。私個人としても、ファッションの裏側にいる人たちのストーリーに強い興味を持っているので、それらを発信していけることはエディターとしての仕事の喜びの一つになっています。

欧米と地理的に大きく隔たっている東京をはじめとするアジアのデザイナーたちが、自分たちの存在を海外にアピールするのは簡単なことではありません。アジアのブランドが海外から注目されるためには、どんなアプローチが有効だとお考えですか?

やはりSNSの力を使うということが非常に大切だと思います。SNSの有効活用というのは、あらゆるブランドやデザイナーにとって悩ましい問題ではありますが、それでもやはり自分のブランドをアピールする上での格好のツールであることは間違いありません。SNSの良い点は、たまたまユーザーのタイムラインに流れた写真などを通して、自分のブランドの存在を知ってもらうことができるところです。また、私のように日本を訪れるにあたって、SNSで日本のブランドなどのリサーチをする人もいます。今回もSNSがなければ知り得なかったブランドの数々と出会うことができました。

欧米に拠点を置くアジア出身のブランドやデザイナーもますます増えていくと思いますが、アジアのファッションの未来について何か期待することはありますか?

パリやニューヨークのファッションスクールに留学するアジア人も多いですし、今後さらにアジアから世界に出ていく人は増えるはずです。東京やソウル、上海出身の優秀なデザイナーが、パリやロンドン、ニューヨークなどに拠点をおき、現地で良い評価を得ることができれば、アジアのファッションが世界に引けをとらないということを証明できますし、それによってアジア全体のファッションのレベルも引き上げられていくはずです。これらは素晴らしいことですが、海外に出たアジアのデザイナーたちには、最終的には自国に帰ってきてほしいという思いもあります。母国に戻り、次世代のデザイナーたちに影響を与えたり、ファッション業界の成長に貢献するということも非常に大切な仕事なのですから。

INTERVIEW by Yuki Harada

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