Interview
Interview

安藤 政信

安藤 政信 俳優

Amazon Fashion Week TOKYO 2018 S/S Official Backstage Photographer

1975年5月19日、神奈川県生まれ。1996年に北野武監督の映画『キッズ・リターン』で主演デビュー。その後も映画を中心に俳優として活躍し、中国や台湾映画にも多数出演。

俳優として数多くの話題作に出演してきた安藤政信氏が、前シーズンに引き続き、Amazon Fashion Week TOKYO 2018 S/Sにフォトグラファーとして参加した。愛機であるキヤノンEOS 80Dを手に、ファッション・ウィークのメイン会場である渋谷ヒカリエで行われたほぼすべてのショーのバックステージやランウェイの撮影を敢行し、新たに開設したInstagramアカウントを通じて発信した。今回の撮影の感想や会期中のエピソード、ファッション・ウィークに対する思いなどを伺った。

 

ファッション・ウィークの撮影は2回目になりますが、前回の経験を踏まえ、今回はどのような思いで撮影に臨みましたか?

前回撮影をさせていただいたことで、ファッション・ウィークや日本のファッションというものに対して思いが強まったところがありました。アジアの最先端にあるはずの日本のファッションは、もっと外に向かって発信をして、盛り上げていった方が良いんじゃないかと感じていて、そうした状況は今の日本映画界と重なる部分があるのかなと。また、一から何かをつくって発信することや、華やかな表舞台とそれを支えるバックステージの関係性なども映画と通じるところがあって共感できるからこそ、現場にいると本当に感動させられるんです。ショーにおけるすべての時間はデザイナーさんやモデルさんたちにとって非常に大切なものだと思うので、その時間やそこに流れる空気を愛おしく感じられるように撮りたいという思いで臨みました。

 

Photography by Masanobu Ando

 

メイクアップ中のカットなどバックステージの写真と聞いて多くの人がイメージするような写真だけではなく、今回はモデルさんのポートレート写真なども多く撮られていましたね。

やっぱり人をしっかり撮りたいという思いが強いですね。もちろんたくさんの人たちがごった返しているようなバックステージならではの写真も残したいとは思っていますが、同時に、ショーに関わる一人ひとりのその瞬間というものをしっかりライティングして撮影したかった。だから、隠し撮りのように撮影するのではなく、なるべく本人に声をかけ、自分の思いを伝えてから撮らせてもらうように心がけました。

 

ショー直前のバックステージでそうした撮影をするのはなかなか難しそうですね。

確かに、モデルさんたちもみんなピリピリしているので、コミュニケーションは難しいのですが、せっかくこの場に居させてもらえているのだから、やるしかないという思いでした。自分も映画の撮影中などにスチールカメラマンに撮られることがありますが、以前は特にピリピリしているような時は撮ってほしくないなと思っていました。でも、自分がバックステージに入って撮らせてもらう立場になってからは、撮られる側としてもだいぶ優しくなったような気がしています(笑)。撮る側、撮られる側双方の気持ちを理解しながら撮影できるカメラマンはそう多くないはずなので、そうした自分にしか撮れない写真というところは意識しました。

 

Photography by Masanobu Ando

 

バックステージを撮影する中でどんなことを感じましたか?

ショーの前と後ではみんな表情がまったく違っていて、それを目のあたりにした時はとても感動します。初めてショーをするようなデザイナーさんはもちろん、ベテランでもやはりショーの前はすごく緊張しているのが伝わってくる。また、バックステージでは本当に予期しないさまざまなことが起こるので、毎回とてもドラマチックなんです。あと、前回の経験があったので「このショーはお客さんの入りが遅いな」とか、「プレスの人の反応がとても良いな」とか、「時間が押してしまっているけど、その後のショーとか大丈夫かな」とか(笑)、1回目にはわからなかったこともだいぶ見えてきたところがあるので、その分ブランド側の立場になって変にドキドキしてしまうことが多かったです(笑)。こうした部分も含め、美しいランウェイショーを見るだけではわからない部分まで体験できる面白さがあるし、関わる人たちのさまざまな感情も垣間見えて、それがバックステージの撮影をする醍醐味だと思います。

 

Masanobu Ando instagram

AmazonFWT × Masanobu Ando公式アカウント。AmazonFWT 2018 S/Sのバックステージやショー写真を中心に、時折、安藤さんのプライベートな作品撮りもアップされている。

今回はInstagramの公式アカウントも開設し、安藤さん自ら写真をセレクトし、投稿するという試みもされましたが、こちらについてはいかがでしたか?

特に大々的な告知はしなかったのですが、会期が終わるまでにフォロワー数がだいぶ増えました。このファッションウィークをきっかけに、自分がフォトグラファーとして写真を撮っているということを多くの人に知ってもらいたいという思いもあったので、ありがたかったですね。撮影したブランドのデザイナーさんがリポストしてくれたりしたのもうれしかったですし、役者や監督など知人からも良い反応が得られました。

 

前回のインタビューでは、周囲の役者さんなどを被写体にしたプライベートな撮影をされているという話を伺いましたが、そうした撮影と今回のような記録写真ではだいぶ違いがありそうですね。

そうですね。これまで続けてきた個人的な撮影というのは、基本的にはほとんど縛りがない中で、自分の感覚だけを頼りに撮影しているところがあります。一方で今回のような撮影では、写真が公開されるので、自分がやりたいように撮ってしまうと誰かを傷つけてしまう可能性があります。そういう部分には配慮しましたし、自分の感性を表現することよりも、デザイナーさんやモデルさんたちがつくるショーに流れる空気や時間を、美しく残したいという思いが強かったですね。

 

今後、写真家としてやってみたいことはありますか?

女性のヌードを撮りたいですね。なかなかそれを一緒にしてくれる人や発表できる場所を見つけるのが難しいのですが、やはり女性のヌードというのが最も美しいと思っているし、決して古くならないものですよね。最新のファッションを発表する現場の撮影をさせていただいているのに、裸を撮りたいというのもおかしな話ですが(笑)。

 

Photography by Masanobu Ando

 

Masanobu Ando

© taka mayumi

ファッション・ウィークの撮影については今後も続けていきたいとお考えですか?

機会があるならぜひ続けたいと思っています。今回は1週間フルで撮影したので、やはり週後半は体が痛くて疲れも出ましたが(笑)、それでもやめられないですね。最終日には大きな感動があったし、最終日はもう終わってしまうんだと寂しい気持ちにもなりました。人の感情を見ているのが好きなので、バックステージの撮影はこれからも続けていきたいし、回数を重ねていくことで自分の作品にもなっていくと思うので、今後も大切にしていきたいです。すでに次回のファッション・ウィークの会期も、映画やドラマ関係者にここだけはスケジュールを空けておきたいと伝えています(笑)。

 

今後ファッション・ウィークの撮影で挑戦してみたいことはありますか?

次はこうしたいということよりも、ずっと続けてきた結果こうなりました、ということをどこかのタイミングで見せられたらと思っています。デザイナーの皆さんも毎シーズンショーを続けていて、すでに次に向けて動いていますからね。いつかファッション・ウィークで撮影した写真をしっかりプリントして発表できたらと思っていますが、それにはまだあと何年かは撮影を続ける必要があると感じています。続けていくうちにファッション・ウィークに対する自分の思いもさらに強まるはずですし、より愛情深い視点から撮影した写真はもっと良いものになるのではないかと思っています。

 

Interview by Yuki Harada

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