Interview
Interview

クリステル コーシェ

クリステル コーシェ Christelle Kocher

AmazonFWT 2017 S/S SPECIAL PROGRAMS

フランス出身。セント・マーチンズを卒業。ハイブランドでキャリアを積んだのち、2010年メゾン ルマリエのアーティスティック、ディレクターに抜擢される。2014年、自身のブランド、コーシェを立ち上げる。
コーシェは、ハイファッションとストリートカルチャーをミックスしているブランド。他と差別化されてカジュアルに見えるけれど、ラグジュアリーでかつオートクチュールに近しい。モダンらしくエフォートレス、タイムレス。コーシェは新しいアングルでみれるハイラグジュアリーなファッション、それを "COUTURE TO WEAR"と呼んでいる。

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2014年のデビュー以来、またたく間に世界中のファッショニスタたちを虜にしたパリ発のブランド「コーシェ」が「KOCHÉ Presented by H BEAUTY&YOUTH(コーシェ バイ エイチ ビューティ & ユース)」として、Amazon Fashion Week TOKYO 2017 S/Sに参加。内閣官房オリンピック・パラリンピック推進本部事務局の協力のもと(*)、日本初のショーを行った。
原宿の路上を舞台に、東京のファション/カルチャーシーンを象徴する面々をモデルに据え、2016 A/W、2017 S/Sの2シーズンのコレクションをミックスして発表するという型破りなプレゼンテーションで話題をさらった。デザイナーのクリステル・コーシェ氏に、ショーの舞台裏や日本のカルチャーやファッション、素材について聞いた。

(*)オリンピック・パラリンピック基本方針推進調査 文化を通じた機運醸成試行プロジェクト
本プロジェクトは、内閣官房オリンピック・パラリンピック推進本部事務局の委託により、平成28年度オリンピック・パラリンピック基本方針推進調査として実施しています。大会成功にむけて注力が必要となる重点分野の1つとして「多彩な文化を通じた日本全国での大会の開催にむけた気運醸成」を設定した上で、伝統的な芸術から現在舞台芸術、最先端技術を用いた各種アート、デザイン、クールジャパンとして世界が注目するコンテンツ、地域性豊かな 和食・日本酒その他食文化、祭り、花火、工芸等の文化イベントを対象に、海外への発信力とその効果について、事前に課題分析し、オリンピック・パラリンピックの成功のための事前試行・調査プロジェクトに位置づけています。

 

日本でショーを開催するにあたり、原宿のストリートを会場に選ばれたのはなぜですか?

以前から私は、東京のファッションやカルチャーが大好きで、日本のストリートスナップの雑誌なども昔から集めていました。原宿というのは、そんな東京の若者文化を象徴するエリアとして、私が暮らしているパリでも非常に有名です。今回東京でショーを発表するにあたって、自分のブランドと若者のシンボル的存在と言える原宿のストリートというものがリンクするのではないかと考え、原宿通りを会場として選びました。

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原宿通りでのショーの様子

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2015年にパリで行われたデビューコレクションでも、駅と直結した地下街でショーを発表されていますが、こうしたパブリックスペースを会場に選ぶ理由はなんでしょうか?

ブランドを立ち上げた当初から、閉じられた空間で限られた人たちだけに向けてショーを発表するのではなく、ファッションを愛する業界以外の人たちにも幅広く見てもらうことがフェアだと考えてきました。実際に人々が生活をしている環境の中で、自分のブランドの洋服をリアルクローズとして見てもらいたいという思いも強いです。また、今回に関しては、東京というこれまでに私が影響を受けてきた特別な場所で発表するということもあり、できるだけピュアな形でブランドのクリエーションをお見せすることで、みなさんに新鮮な体験をしていただきたいという考えもありました。

 

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ショー後の囲み取材の様子

東京のファッションやカルチャーのどんなところに魅力を感じるのですか?

日本の人たちは本当にファッションを愛していると感じます。非常にクリエイティブであると同時に遊び心もお持ちですし、自分を表現するためのツールとしてファッションを使いこなしています。そしてこれらは、自分のブランドととも強くリンクする部分だと感じています。また、川久保玲さんや山本耀司さんをはじめとする日本人のデザイナーのものづくりの姿勢や考え方は尊敬に値するものですし、日本のアートやクラフトなどのものづくりにも強い共感を覚えます。日本には、伝統的なものと革新的なものが上手く共存していることも大きな魅力だと思います。そして、私が幼少期を過ごした90年代のパリでは、「キャッツアイ」や「ドラゴンボール」をはじめとする日本のマンガが非常にポピュラーで、私も夢中になって読んでいたので、とても親しみがあるんです。

 

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AmazonFWTオフィシャルアンバサダー マリエさんの取材に応じるコーシェさん

今回のショーには、プロのモデルの他に、東京で活動するクリエイターやブロガーなども登場しましたが、どんな基準でキャスティングをされたのですか?

モデルとして特に明確な基準は設けず、その人の人柄や個性が印象に残った方たちに依頼しました。東京のクラブにも行き、その場で直接声をかけた方たちもたくさんいます。ファッションショーでは、モデル自身の個性や表情は抑えるように言われるケースが多いと思いますが、私はそれを好みません。逆にコーシェのショーでは、それぞれの個性を精一杯出すようにお願いをしています。ヘアやメイクも統一することなく、それぞれのモデルに自分らしいスタイルで出ていただいています。

 

クチュールとストリートをミックスしたスタイルや、従来のルールにとらわれないファッションショーのあり方からは、既存のファッション業界に対するアンチテーゼが感じられますが、こうした感覚はさまざまなブランドで経験を積む中で培われてきたものなのですか?

おっしゃる通り、私はいくつかのラグジュアリーブランドで働いてきましたが、その中で好きな部分、あまり好きになれない部分がそれぞれありました。もともとクチュールやクラフトは大好きだったのですが、それだけでは現実的ではないと感じていました。ラグジュアリーなものをジーンズやTシャツなどと合わせることによって、リアリティがあるスタイルがつくれますし、クラフトやクチュールの要素とストリートの要素を混ぜ合わせることで、それぞれ単独では生まれない素敵な世界が表現できるのではないかと考えています。

 

今回は、2016 A/Wと2017 S/Sの2シーズン分のコレクションをミックスして発表されましたが、これも他ではあまり見られない試みですね。

自分でもそう思います(笑)。今回、私たちがチャレンジしたかったのは、まず第一に、新しくフレッシュなものをお見せすること、そして、ショーで見ていただいた洋服をすぐに手に入れられるということでした。私たちのショーをストリートで見て、欲しいと思ったアイテムがあればすぐにショップで買えるという体験を提供したかったんです。コーシェでは、1シーズンだけで終わってしまうようなものではなく、シーズンレスで着られる服づくりを心がけています。今回のショーのスタイルを通して、私たちがつくるものはシーズンのトレンドなどに限定される洋服ではないということをお伝えしたかったんです。

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2016 A/Wと2017 S/Sのシーズンミックスで発表された

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ショーは、KOCHÉ Presented by H BEAUTY&YOUTHという形で発表されましたが、このコラボレーションはブランドにとってどんな経験になりましたか?

ブランドにとって非常に良い経験になりましたし、得るものも多かったです。ユナイテッドアローズのクリエイティブディレクターである栗野宏文さんの視点からも学ぶことがたくさんありましたし、チーム内で意見を交換しながら、力をひとつにして色々なものをつくり上げていく面白さがありました。また、路上でショーを発表するにあたって、警察やショップに許可申請をする必要があり、これも私たちだけではとても実現できなかったことだと思います。

 

最後に、日本の素材やテキスタイルの印象についても伺えますか?

日本のテキスタイルは非常に好きなのですが、ブランドの規模が小さいので、日本からパリへ輸入することはまだ難しい状況です。ただ、すでにお付き合いがあるサプライヤーもたくさんいますし、将来的には日本の着物やクラフトの作家さんなどともコラボレーションできる機会があるといいですね。

 

The making of KOCHÉ 2017 S/S collection show in AmazonFWT

Interview by Yuki Harada

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